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建築確認や完了検査におけるBIM活用を推進
ーデジタル技術を活用して、より精度高く、確実にー

2020年から発足した本プロジェクト
2023年を迎え、BIM活用のいままでとこれからについて、
清水建設様にお話を伺いました

BIMモデルを使った建築確認の法適合判定プログラム開発から始まり、リモート完了検査の支援システムを開発

国土交通省が建築BIM推進会議を設置し、世の中がBIM活用に前向きに。
清水建設(株)様は公的な動向に先行して、2019年より(一財)日本建築センター様(BCJ)の協力を得てBIM確認申請の取り組みを開始、2020年から積木製作(株)も参画し、現在も開発を続けています。

引用:https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2022/2022048.html

BIMモデルを使った建築確認申請

積木製作へご依頼いただいた経緯、決め手

法適合判定プログラム

BIMの情報を活かす方法

清水建設 佐藤氏

BIMのもつ情報を活用して何かできないか?とBCJと話をしていて社内でどんなことができるのか検討していくうちにDynamoによる法適合判定プログラムのプロジェクトが始まりました。
当初はいくつかの会社にプログラム作成を依頼していたのですが、各社がバラバラに作っていてうまくいっていない部分も多く、その調整を宮本さんが担っていました。しかし、どんどん作るプログラムの数が増えて対応しきれなくなった時に、以前清水建設に所属し、SUDARE TECHNOLOGIESを設立、建設に係るコンピュテーショナルなことをいろいろやる会社として独立していたのを知っていたので丹野さんに声をかけました。

清水建設株式会社
設計本部 デジタルデザインセンター
上席設計長 佐藤浩 様

SUDARE 丹野氏

話をもらって自分で動くかどうかについては迷いました。絶対に自分で動いたら破綻すると感じて最初に森田さん(現:SUDAREスタッフ)に入ってもらい、要件定義というか最初の仕様や法の読み解きなどをやってもらっていました。
その後、塩崎さんにサポートと事務局のような部分をやってもらい、その間に実際にプログラムを書いてくれる人を探し、増やしてといった流れで進んできました。なので普通のプロジェクトの流れとは少し違う感じではありました。

SUDARE TECHNOLOGIES株式会社
代表取締役 丹野貴一郎 様

プログラム業界と建築業界の進め方の違い

清水建設 宮本氏

少しイレギュラーというか、ある種のマネジメントをお願いしている感じです。
軌道に乗るまでいろいろ試したのですが、通常のプログラミングでは、最初に決めた仕様書で進めるのが業界のセオリーだと思うのですが、考えながら徐々に完成度を高めていく建築業界のやり方の違いで難しいところがあったり…。その辺をうまく回すことが重要で、建築の知識や進め方をよくわかっている丹野さんにお願いしています。

清水建設株式会社
設計本部 デジタルデザインセンター BIM推進グループ
設計長 宮本敬行 様

精確な避雷保護範囲がどうなっているかなんて
誰もわかっていない

清水建設 佐藤氏

回転球体法による避雷保護範囲生成が一番苦労しました。
回転球体法は、二つ以上の受雷部に同時に接するように、または一つ以上の受雷部と大地とに同時に接するように球体を回転させたときに、球体表面の包絡面から被保護物側を保護範囲とする方法です。
複雑な形状の建物となると、精確な保護範囲がどうなるか実は誰もわかっていないのです。今までの確認する手段は怪しそうな部分の断面を複数作図するだけでした。
3Dで可視化できるようにした今回の取り組みは、複雑な建物でも間違いなく避雷を防ぐことが出来るということが最大のメリット。
安全な建物を社会に提供できるのというのは非常に有意義な取組だと考えています。

法適合判定プログラムで生成した避雷保護範囲

建物が避雷保護範囲内に収まっている状況を鳥瞰により確認できる。

ARを活用した完了検査の遠隔実施(遠隔臨場)

検証段階から一緒に走ってほしい

清水建設 佐藤氏

ARを活用した検査は、現地の屋上に上がって法適合判定プログラムで生成した避雷保護範囲の中にちゃんと建物が納まっているのが確認できる検査がしたい!みたいな話から進んでいきました。
以前からARや VRなどを使ったプロジェクトを一緒にやっていた経緯もあり、要件定義など全く無い状態で検証段階からしっかりと一緒に走ってほしいというところにご賛同頂き、積木製作と一緒にやることになりました。
極端に言えば、最初から決まっているものは何もない状態から一緒に走り始めることが可能か、ということが大きなポイントでした。

現実の映像とBIM避雷保護範囲を重畳

清水建設 宮本氏

我々みたいな立場でもう一歩プログラマーに近い人がいてほしいと感じていて、設計の経験があってコードも書ける、建築もXRも、CGもできる積木製作にお願いしています。
プログラムの内容は説明してもらえば理解できますが、自分で構築するところまではなかなかできない。今後そういう人材は引っ張りだこになると思います。
すでに無意識になってしまっていますが、特別な配慮なしに建築の話が出来るというのもありがたいです。
用語の説明から始めなくていいのも助かります。
元々CGを得意とする積木製作ですので、XRでの見せ方などについてのイメージの共有も苦労がなく、すぐに実装、反映できています。

現実と確認申請BIMを重畳したXR画像

株式会社積木製作
CASE マネージャー
荒井洵哉

株式会社積木製作
CASE BIMマネージャー
塩崎和美

郷 代表
竹内一生
(前積木製作)

メタバースを活用した新しい検査(メタバース検査)

xR技術を使うのは課題解決のための手法

清水建設 佐藤氏

検査を遠隔から実施することはメリットがあります。 ただ、ARでは位置合わせの手間、遠隔地の人が自由に見ることが出来ない、現実の映像とBIMの前後関係を正しく表示できないなどの課題が見えてきました。 それらの課題を解決するため、建物の3DスキャンデータとBIMを結合したメタバースを活用した新しい検査手法に取組ました。検査者や被検者はアバターとなって参加し、開発した「xRチェッカー」を使って遠隔から建物の検査を行うのです。xRチェッカーには点群とBIMの差分を計算し見える化するツールもあり、操作性だけでなく確実性向上と効率化も図っています。 今回、課題解決のためにxR技術を活用していますが、実は正解はまだわかっていないし、答えは一つと限らないのです。

点群データとBIMモデルを結合したメタバース。

点群に避雷保護範囲などの法規制空間を表示して整合を確認したり、アバター間の会話やチャット機能を使って質疑応答を適切に行うことができます。

今あるベストな手段で実践してみる

清水建設 宮本氏

HMDも今のところは重要ポイントですが、ある意味ではボトルネックにもなっています。 今取れる手段が“HMDでVR空間に入ること”なだけでそれに代わる何かが出てくればそれを使うかもしれません。 今取り得るベストなものを使って、常に新しい情報をキャッチアップしながら、考えるだけじゃなくやってみるを常に続けています。 一緒にタッグを組む積木さんに目に見える形にしてもらっていることも前に進んでいける原動力になっています。 今ある技術をできるだけ使ってみて課題を解消する方法を探しています。 HMDを使ってVRですごいでしょ?ではなく、“検査するには自由に見たいからHMDを使っている”だけで、課題解決するための手段のひとつです。 その手段の引出しが多いという点も積木さんにお願いする理由です。

点群とBIMの差分を計算して一定の数値以上離れいる部分を赤、一致している部分を青で表示。検査すべき箇所が瞬時にわかります。

チームで同じ方向を向いていること

清水建設 宮本氏

ここまでいろいろやってきましたが、実は最初からゴールが決まっていた訳ではありませんでした。
一つやってみて、失敗したら次はどうするか?いろいろ試して改良してきた結果でこのかたちになっています。
ただ、振り返るとロードマップが最初からあったかのようにつながっていました。
それはやはり、ずっとこのチームでやってこれたからなのかなと思っています。
人が入れ替わり立ち代わりになると、同じような繰り返しが生まれたり、共通認識を持つのに時間がかかったりしますが、今回このプロジェクトでは同じチームで一貫して同じ方向を向いてより良いものへと改善を進めてくることが出来たと思います。

清水建設様と法令判定プログラムの開発を開始したのは2020年になります。
Revit+Dynamoを使った法令判定から始まり、xRを活用した遠隔検査まで我々にとっても新しい技術や建築への活用方法などを一緒に検討出来たことを感謝しております。
このプログラムはまだまだ新しい技術を盛り込んで開発を続けております。
佐藤様、宮本様、誠にありがとうございます。
より良いシステムとなるようこれからも一緒に取り組んでいければと思います。

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